《スーパー物研タイムズ・電子版 第28号》

★´91東京おもちゃショーのご報告

6月6日木曜日から9日日曜日まで、千葉県の幕張メッセにて、「´91東京おもちゃショー」が開かれました。私スーパー物研タイムズ編集長のTaichoも、6日の初日に行ってきましたので、いつもの様にレポートを書いてみましょう。

今回なぜかスーツ姿に変装した私を乗せた電車は、6月6日午前6時26分に小田原駅を出発。朝5時に起きただけあって、私の座席はすぐに寝台席へと早変わり。たちまち私は夢の世界へとワープしたのでした。

ふと気がつくと、先ほどまでガラ空きだったと思われた車内が、辺り一面通勤通学の皆さんでいっぱい。普段、私はラッシュを体験せずに通学をしているので、突然開かれた「車内ビジネスマンショー」にとても驚いてしまいました。

しばらくすると、突然車内の混雑度数が激減し、向こう岸の席の人たちが顔を出しました。どうやら代々木上原の駅に着いたようです。やはり千代田パワーは強力ですね。

代々木上原を過ぎたということは、もう終点の新宿は間近に迫っているわけです。こうなると、さすがに再度眠りにつくことは無謀です。寝戻してしまうことは目に見えています。私は都庁が移転してきた街を眺めながら、電車が到着するのを待ちました。

「新宿、新宿です。」アナウンスが流れる中、私はホームに降りました。ふと時計を眺めてみると、なんと午前8時25分ではありませんか。小田原から2時間もかかったことになります。いつもは1時間半ばかしで着くというのに‥‥やはりラッシュアワーの小田急は遅いようです。すっかり予定が狂ってしまいました。会場まであと30分ほどしかありません。

階段を登り、小田急の改札を出た私は、JRの自動券売機を目指しました。しかし、さすがにこの時間に切符を買うなどといういなか者はあまりいないようで、切符売り場は「これが日本一のターミナル駅か」と思われるほどの閑散ぶりでした。心なしか、ずらりと勢ぞろいした券売機たちもたいくつそうでした。

新宿から海浜幕張までは610円。小田急で新宿から小田原までとほぼ同じです。そんなことはどうでもいいので、券売機に千円札を挿入。そして610円のボタンを押しました。しばしの沈黙の後、取り出し口には切符とともに硬貨がガチャガチャ音をたてながら勢いよく落ちてきました。やっとお客が来たので、券売機もうれしかったんでしょう。そんなことを思いながら、私は改札口にやってきました。

切符を買うのが自動なら、切符を切るのも自動です。―そう、ここは自動改札なんです。よく考えると、イオカードなんて言う便利な物も出来たんですね。機械に切符を入れると、カチャッと音をたてて、すばやく切符が機械の前の方に出てきます。混雑している時間帯などではスピーディーに改札が行われていいのですが、なんかせかせかしてていやだなぁ…。やはり駅員さんにハサミを入れてもらう方が私は好きです。まあ、東京に出てきた時ぐらいしか自動改札にお世話になることはないのですが‥‥毎日使うのはちょっと…という気がします。

さて、次の目標は「真ん中通るは」で同じみ中央線です。階段を下ってホームに降りると、すごい人人人です。こんなにたくさんの人が乗り切れるのでしょうか、そんな疑問を抱きながらも、到着した朱色の電車に乗りました。

当然座れるはずもなく、ドア付近に立つことになりました。四方360゜人人人に囲まれています。つり革につかまることさえ出来ません。それでも電車は発車しました。

電車が発停車のため揺れる度に私の体はドミノの駒となり、バランスが崩れるのを隣の人に伝えていきます。そんなことを何度もやっているうちに、電車は東京に着きました。「バランス測定はこれで終わりだ。さっさと行くぞ。」私は外に出ました。

さあこれから京葉線に乗り換えです。またもあの長い通路を歩かなくてはならないとは…。時計を見ると、なんともう8時45分。どう考えても9時には間に合いません。でもちょっとぐらい遅れてもいいですよね。

地底のホームに着き、京葉線の各駅停車蘇我行に乗りました。中は背広姿の社会人ばかりで、あやしげな少年などどこにも見当たりません。さすがに平日、これならおもちゃショーもそう混まないでしょう。

しばらくすると新木場に到着。私の周りには、十数名ほどの女子高生の一団が乗り込んできました。修学旅行のグループ別自由行動か何かでディズニーランドへ行くのでしょうか。それはそうと、私がちょっとラッキーな気分になったのは言うまでもありません。

しかし‥‥彼女らは窓から外を眺めてキャーキャー騒いでいます(といっても一部の人たちだけですが)。どう見ても、ズバリ「幼稚園児みたい」でしょう。まぁはしゃぐ気持ちも分からんでもないですが。といっても、別に迷惑には感じなかった私はなんなんでしょう…。

というわけで、ディズニーランドの目の前の舞浜駅に到着しました。先程の高校生や、子供連れたちがぞくぞく降りていきます。もう向かうところ敵なしといったところでしょう。

しかし、何となくそれらしい大学生ぐらい三人(当然男)が車内に残っていたのは見逃せません。また、三十代後半ぐらいの会社員風の二人が、ソニーのCDロムがどうとかこうとか言っていたのを耳にして、また不安が戻ってきました。果たしてこの車内のどれぐらいがメッセに行くんだろう…。

そう言っている間に、電車は新習志野に到着しました。さあ、次はいよいよ海浜幕張です。…ところが、車内で「通過電車待ち合わせのため、5分程止まります」とのアナウンスがありました。人が急いでいるというのに‥‥まあしょうがないか。いや、待てよ。さっき特急列車が通過したばかりだよなぁ。ということは、まさか…。

その時、目の前を蘇我行の快速電車が通り過ぎていきました。私はあまりのショックに、伝言板に白墨で落書きしたくなってしまいました。「人が1秒も早く幕張に着きたいというのに‥‥なんで快速の方が早く着くって先に言わないんだよぉ。」まぁ今さら騒いでもどうしようもないので、私は怒りをこらえながら電車の発車を待ちました。

そして、ついに電車が海浜幕張に到着する時がやってきました。ここまでの道のりの長かったことと言ったら‥‥と感傷に浸っていると、車内の半分近くの人たちがいっせいにドアの前に集合しました。

や、やはりみんなメッセに行くのかあ‥‥これは結構混むかもしれないぞ。そう思いながらホームに降り、人込みに紛れて階段を降りると、そこにはまた地獄のような光景が広がっていました。

階段わきの精算所には、ずらりと列が出来ています。改札を出て「さあ今のうちに帰りの切符でも買おうかな」と自動券売機を見ると、これまた人人人。「これなら帰りに買っても同じや」と、そのままメッセを目指すことにしました。

時計を見ると、なんと9時45分です。これは相当遅くなってしまったと、早足でメッセに向かうことになりました。次から次へと会社員風の人たちを抜かしていくのは、レーシングゲームをやっているようでなかなか気分がいいものです。とは言っても、さすがに慣れないこの格好で走ると暑く感じてきました。ゴールはあともう少し。ラストスパートで頑張るのだ、と汗をたらしながら一人で盛り上がるのでした。

ついに日本コンベンションセンターの前に到着です。タッタッタと階段を駆け上がり、メインストリートに出ました。入場券売り場は一番はじにあるようです。なんでわざわざそんな遠いところに作らなくちゃならないんでしょうね。それなりに事情があるのでしょうけれど。

しかし!私には、あるルートからやっとの思いで手に入れた「出展社章」があるのですよ。これを使えば、入場券など買わなくてもメーカー人になりすまして潜入することが出来るのです。ふっふっふ‥‥あれ?

鞄の中から変装アイテムを出そうとしたのですが、全然見当たりません。そ、そんなバカな‥‥やっとのことで手に入れたというのに‥‥ここまで来て帰れと言うんか‥‥。自分の顔が段々と焦りの色に染まっていくのが、手にとるようにわかります。ああ、何と言うことでしょう。何のためにこんなに苦労したんでしょう。

あっ!あった~!ありましたよ。しっかり鞄の奥の方に隠してあるではないですか。まったく意地悪なんだから~。一時はどうなることかと思ってしまった。まったく人騒がせな鞄です。

しかし、鞄の中を覗き込みながら不気味な笑みを浮かべている、生意気にスーツなんて着ちゃっている少年の姿は、周りからはさぞ異様に見えたでしょう。しかし、このバッチさえ見つかればこっちのものです。「一般の方はご入場できません」と書かれた関係者用の入口を、大手を振って通過してしまいました。そばに立っている警備員に何か言われないかとビクビクしていたのですが、案の定何も言われませんでした。入ってしまえばこっちのものです。

さてさて、ついに夢にまで見たバイヤーズデーに入ることが出来ました。さすがに会場は広いだけあって、思ったほど混んでいるようには見えません。去年一般公開日に来た時なんて、それこそ身動きさえとれないほどだったことを考えると、天とかけほどの開きがあります(そばで例えると)。まあごたごた言ってもしょうがないので、まずはPCエンジンの日本電気ホームエレクトロニクスのブースへ行くことにしました。

今回のNECブースの注目の的は、誰が何といっても「新CDロムロムシステム」です。これは何かと言いますと、バッファRAMの容量を今までの4倍に増やして2メガビットにしようということです。たったそれだけのことなのですが、これだけでソフトのクオリティがぐーんと上がってしまうから恐ろしいものです。

新しいロムロム「スーパーCD-ROM」は、今までの様にCD-ROMドライブとPCエンジン本体をインターフェースユニットで接続するという形ではなく、本体の後ろのコネクタに直接ドライブをつなぐようになります。よって、あのスーパーグラフィックスにもアダプター無しでそのまま接続出来るわけです。もちろんこれには2メガのバッファRAMやらADPCMやらバックアップメモリやらが中に入っていて、さらには今まで本体に挿していたシステムカードも内蔵されているようです。しかし、今までのようにCD単体での演奏は出来なくなったようでちょっと残念。

スーパーCD-ROMにはAV出力端子も用意されていますが、今売られているPCエンジン本体にはちゃんとAV端子がついているんですよね。ビデオ出力が二つもあっても意味ないと思うのは私だけでしょうか。AV出力のついていない初代エンジンのユーザーのためとは言え、どうせだったら省いてしまえばさらに値段が下がるはずですが‥‥。それか、変わりにRGB出力をつけるとかね。

それにしてもこのスーパーロムロム、色といい形といい、スーパーファミコンにかなり似ていません?

さて続いては、本体とロムロムの一体型マシン「PCエンジンDuo(デュオ)」です。これはスーパーCD-ROMとコアグラが合体した代物でして、これ一台でカードもCDも楽しめる、いわば「ツインPCエンジン」です。まだPCエンジンを持っていない人にはお薦めのハードでして、しかもコアグラとスーパーロムロムを別々に買うよりは安くなるということです。

デザインもなかなかおしゃれでして、これがゲーム機とは思えません。大きさも、今までのCD-ROMシステムより小さくなり、一見ノートパソコン風です。しかも、バッテリーパックと液晶モニターをつければ外でも遊べるというではありませんか。さすがに歩きながらのプレイは無理と思われますが。で、果たしてバッテリーがどのぐらい持つのかが疑問です。せめて2~3時間はもってもらわないとねぇ…。どうなるんでしょう。

あと、このマシンにはヘッドホン端子がついていて、CDの音声だけでなくPCエンジンの音もステレオヘッドホンで聞けるそうです。どうせなら他のマシン(コアグラ等)にもつけてほしいな。それと、やはりこのマシンには拡張端子がないようなので、イラストブースターだの通信ブースターだのはつかないようです。あくまで、PCエンジンでHuカードとCD-ROMのソフトを低価格で楽しみたい人への商品なわけですね。

で、その液晶モニターですが、4.3インチのカラー液晶画面ということで、GTよりもさらに鮮やかクッキリです。でもきっと高くなるんでしょうね。

ちなみに、会場には子供部屋のようなものが設置され、その部屋にいるのにふさわしい少年の格好をしたおねえさんが、デュオ+液晶モニターでずーっとゲームをしていました。ずっとゲームしてればいいだけの仕事なんて、なんてうらやましいんでしょう。でも、後ろからおじさん達にさんざんのぞきこまれていて、ちょっと惨い気がしました。

さて、CDロムロムシステムが新しくなったのはいいのですが、全国1億3千万人の(うそです)従来ロムロムユーザーはどうすればいいのでしょうか。

…心配はいりません。従来システムを新システムにバージョンアップするための「スーパーシステムカード」が僕らの味方です。今までのシステムカードの代わりにこのカードを挿せば、今日から君のロムロムもグレードアップ!あとはいくらぐらいになるのかが問題ですね。

この新しいスーパーロムロムシステム3種類、全て年内発売予定の価格未定だそうでして、今後どうなるかが楽しみです。ちなみに私の予想+希望価格としては、新システムカード1万、スーパーロムロム4万、デュオが5万5千[税別]といったところですが‥‥やはり無理でしょうか。

あと、PCエンジン本体もマイナーチェンジして「コアグラフィックス2」となりました。見かけも機能もコアグラとほぼ同じだそうで、これで値段は5千円ダウンの1万9800円。発売は6月21日だったかな。この調子でSGやGTも何とかならないのでしょうか。

とまあ、ここまでが今月号のPCエンジン専門誌などで紹介されていた商品なわけですが、ほかにも参考出展ですが、すごいマシンがありました。

(続く)

スーパー物研タイムズ編集長
Taicho